永遠のラリードライバー
日本を代表するラリードライバーは誰かと問われれば、篠塚健次郎と答える方が多いのではないだろうか。
三菱パジェロに乗り、1997年に日本人で始めてパリ・ダカールラリーで優勝したつわものである。
今日、日経ビジネスオンラインを見ていたら、その篠塚氏が、昨年12月に「ラリーバカ一代」という半生記を出版されているのを知った。前から興味のある方だったので、さっそく購入して読んだ。
やはりという感じがした。決して気負わず、あくまでも謙虚。2002年に53歳で退職するまでの30年間、三菱自動車のサラリーマン・ドライバーとして世界を舞台に活躍した。決しておごらず、組織人としての立場と行動をわきまえたバランス感覚抜群の方だ。
サラリーマンでもここまでやれる。いや、サラリーマンだったからこそ、ここまでできたと数箇所で強調されていた。まさに、サラリーマン現役の方に、これは必読書かもしれない。
篠塚氏は著作の中で、ラリーは「何が起きても動じない冷静さと集中力、洞察力が不可欠」と書いている。まさにこの言葉が、篠塚氏自身の本質を表わしていると言ってもいいのでないかと思った。
かなり前になるが、NHK総合の「課外授業ようこそ先輩」に、篠塚氏が出演されたことがある。母校の小学校にパジェロを持ち込み、小学生にラリーの面白さや過酷さを教えていた。そこでも、淡々と語る篠塚氏に全く気負いはなかった。
夕陽に顔を紅く染めて、サハラ砂漠を疾走するパジェロ。過酷な自然との戦いを喜びとし、1日を走り切ることだけを考えて、ひたすら無心に車を操る。
篠塚氏の魂は、今も常にラリーを続けているのであろう。
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