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2007年4月15日 (日)

使える弁証法

多忙を極め、また1ヶ月お休みしてしまった。必要があってVista仕様のモバイルパソコンを購入したので、これからは外出中の隙間時間に書ければと思う。

ある所から書評を頼まれ、久しぶりに田坂広志氏の「使える弁証法」を再読した。やはり奥が深い。思わず3度読み返してしまった。同書については、講演録のCDも持っている。(以前記載したかもしれないが。)

田坂氏はヘーゲルの弁証法を5つの法則に整理してくれている。

①「螺旋的発展」の法則
    物事は直線的に発展するのではなく、らせん階段を登るようにして発展する。
②「否定の否定による発展」の法則
    物事は否定の否定により発展する。
③「量から質への転化による発展」の法則
    量が増大し一定の水準を超えると急激に質の変化が起こる。
④「対立物の相互浸透による発展」の法則
    対立するもの同士は互いの性質が相互に浸透して似てくる。
⑤「矛盾の止揚による発展」の法則
   全ての物事の内部には矛盾が含まれているがその矛盾こそが発展の原動力で
   あり、この矛盾を機械的に解消するのではなく止揚したときに物事は発展する。

すべて目からウロコの教えだが、特に⑤が秀逸である。

止揚とは、一方を否定するのではなく、両者を肯定し包含し統合し超越することによりさらに高い次元のものへ昇華していくことをいう。

20代のとき、日本生産性本部(現社会経済生産性本部)経営アカデミーで人事の研究をしたことがあったが、そのとき部長のあり方を1年かけて研究した。研究の行き着いた先は部長には「パラドックス・マネジメント」が必要ということであった。

まさに矛盾をエネルギーとしそれを乗り越えていく姿を描いたことを思い出した。

でも、言うは易し行うは難しである。達成するには、深い心とまなざしが必要ということだろう。これは、論理を超越した深遠なる知の世界に足を踏み入れることを意味する。まさにカオスの世界の住人になるということか。まだまだ修行が必要のようだ。

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