旭山動物園「命のメッセージ」
「悟りというのは、平気で死んでいけることではなく、平気で生きていけることだと気づいたのです。」
この言葉、かの旭山動物園園長である小菅正夫氏が「命のメッセージ」という本で書かれたフレーズである。何度繰り返して口に出しても、正直まだピンと来ない。それはなぜか。いろいろ考えたが多分、自分自身が「生命」というものをしっかりまだ理解できていないからではないかという結論に達した。
「生」と「死」、この厳粛な事実を理解するには、あまりにも幸せな生活を送って感性がマヒしてしまっているのかもしれない。小菅氏は獣医として、今まで動物を通して「生」と「死」に向き合って来た。小菅氏の目の前で動物たちは、本当の生命体としての姿を見せてくれているのだろう。
「でも、動物はあがきません。多くの動物たちに生への未練はない。本当に見事に死んでいきます。」
小菅氏によると、動物はその「生命」を引き継ぐことだけに執着心を持って生きているとのこと。余計なことは考えない。種の保存が最大使命。自分の身を犠牲にしてまで「生命」の伝達に全ても燃やす。
「平気で生きる」というのは、「死」を恐れることではなく、「生」をまっとうすることではないか。先を考えるのではなく、今の一瞬にすべてを掛けて生き抜く。それも自然体で。
今はそのように解釈している。しかし、まだよく分からない。頭で理解しようとしても心がついて行かない。
単純ではあるが忘れてしまった大事なもの教えてくれる動物たちの「生」と「死」。その意味を感じ取るこの小菅という男。獣医を超えた存在かもしれない。
旭山動物園は素晴らしい動物園と聞いている。
「命のメッセージ」を伝えるこの動物園に、いつかぜひ行ってみたいものだ。
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