ベルリン・フィルと子どもたち
今日、桜区の図書館へ行ったときに、「ベルリン・フィルと子どもたち」に出会った。
それは、2003年1月にベルリン・アリーナで実演されたベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の演奏と250人の子供達によるダンスの共演に至るまでのドキュメンタリー映画である。
この共演は、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の指揮者兼芸術監督に就任したサー・サイモン・ラトル氏の発案により実施された。
“子供たちに、もっとクラシックの楽しさを感じてもらいたい”
それが、ラトル氏の思いだった。
出身国や文化の異なる250名の子供たちが6週間に及ぶ猛練習を経て、ベルリン・アリーナの大舞台に挑むまでのドキュメントだ。
それまでクラシックに全く縁がなく練習にも身が入らなかった子供たちが、振付師ロイストン・マルドゥーム氏の熱い指導のもと、20世紀を代表するバレエ音楽であるストラヴィンスキーの《春の祭典》の強烈なリズムと一体になり、舞台の上で今まで探せなかった「自分」を見つけて行く。
なかなか見応えがあった。
自己表現をダンスを通して行う。
これに慣れない子供たちは最初、とまどい、ためらい、おしゃべりでごまかす。
曲と合わせる頃から、様子が変わって来た。
「何かを体全体で表現する。」
この意味が、分かって来たのだろう。
ラトル氏いわく。
「何かをできなくてもいい。まず心をオープンにすれば。」
なるほど、まずこだわりを捨てることが先決か。
「人生とは、何かに挑戦することだ。」
前向きになれということね。
「芸術はぜいたく品ではない。必需品だ。」
心豊かな人生をおくるために、芸術は不可欠ということか。
見終わって再度、芸術の持つ意味を感じさせられた。
それは、『自己発見の旅』なのかもしれない。
最後に語ったアルジェリアから来た難民青年の言葉が印象的だった。
「ダンスで、孤独だった僕に多くの知り合いができた。」
「これからは、ひとりじゃない。」
この出会いが、彼の再出発の門出になれば幸いである。
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