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2008年3月15日 (土)

歩を「と金」に変える人材活用術

先日、本屋で人事関係の売り場を散策しているときに、「おやっ」というタイトルを見つけた。

それが、「歩を「と金」に変える人材活用術」だ。

棋士の羽生善治氏とスポーツジャーナリストの二宮清純氏の対談を本にしたものだった。

お二人とも、素晴らしい視点をお持ちの方々と前から評価していた。
「これはおもしろそうだ」と思い、目を通したところ、期待どおりだった。

さっそく購入し、一気に読んだ。

いやー、おもしろかった。
副題が「盤上の組織論」となっているように、将棋の歩を人になぞらえ、いろいろな角度から考察を加えている。

羽生氏「表と裏のギャップが大きいだけに、駒の価値としては金の3倍ぐらいある感じがします。そういう意味で「と金」は最強の駒なんです。」
なるほど、部下を成長させることは、「と金」にするということか。

羽生氏「彼ら(歩のこと)が力を発揮できる環境を用意することが、強い組織になれるかどうかの分かれ目になる。「3年待つ」じゃないけど、先をにらんだ戦略的思考が求められる。」
これって、ヒューマンリソースマネジメント(人的資源管理)とまさに同じ考えだ。

二宮氏「駒を「格」で見るのではなく、効率として評価する。デッドストック状態の大駒=重役は組織にとって無駄以外の何物でもない。」
まさに、そのとおり!

羽生氏「技術的なアドバイスも重要だけど、大きいのは精神的なサポートのほうだという気がします。」
やはり、メンターの存在が大事ということか。

羽生氏「型がない人間より、型がある人間のほうが絶対に強い。ところが、本当に強い人間には型がないんですよ。厳密にいうと、どんな型でもできるから、型がないように見えるんですが。」
変幻自在、柳に風の強さか。

これ以外にも、なるほどとうならされる内容が山ほどあった。

最後に決めのせりふを書いておく。

羽生氏「私はよく色紙に「一歩千金」と書くんですよ。本当にギリギリの勝負というのは一歩を争います。端歩の位置が勝負を決めることもよくある。」

歩を大事にする心。
忘れずにいたい言葉である。

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