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2008年3月16日 (日)

計画された偶然

昨日、日本キャリア開発協会主催のキャリアカウンセリング・シンポジウムに行って来た。

そこで、米スタンフォード大学教授で心理学者のジョン・クルンボルツ博士の
講演を聴いて来た。

ビデオ講演ではあったものの、CDA(キャリア・デベロプメント・アドバイザー)向けに
特別に製作されたものだったので、たいへん興味深く聴くことができた。

博士は、プランド・ハプンスタンス・セオリー(計画された偶然理論)で有名な方だが、
その考えの根幹を、博士自らの言葉で聴くことができたのは、ラッキーだった。

従来、博士はその理論の中で、「偶然の出来事」を「計画された偶然」に変える
には、5つのスキルが必要とおっしゃっていた。

① 好奇心、② 持続性、③ 柔軟性、④ 楽観性、⑤ 冒険心

この5つのスキルを使って、「計画された偶然」を作り出すことが、結果的に
人生の質を深めるものだと。

今日は、クライエントがそのスキルを発揮するために、CDAがどのように
対応すればいいかが、まず伝えられた。

● 既にある特性に基いて意思決定するのではなく、自分の能力・興味を
    広げていけるように支援する。
● 選択した職業が安定したものと思い込むのではなく、変化し続けるものだと
    認識する。
● クライエントに対して診断を下すのではなく、行動を起こせるように勇気付ける。
● 職業選択のみでなく、キャリアに関する全般的テーマを支援する。

物事は何でもやってみなければ本当のことは分からない。
計画を立てることは大事だが、状況は変化していく。
だから、まず「行動」することが必要であり、そのために今に「集中」する
ことが求められる。
計画を変更することはOKである。
キャリアカウンセリングのゴールは、クライエントが「満足できる人生」を送ることである。
計画どおり実行することではない。
CDAには、職業を選ぶのではなく「生きがいのある人生」を探す手伝いをすることが
求められている。
(後のセッションで登場された園田先生の言葉でいくと、「クライエントの自己肯定感
=生きる力」を呼び起こすことが必要ということになる。)

深い内容ではないか。
職業生活というスパンではなく、人生というスパンでキャリアを捉えている。
そういう意味でいけば、CDAは、まさに「全人格」をかけてクライエントと向き合う
ことが必要ということになって来る。

CDAにも、確固たる自覚に基く覚悟が必要ということだ。

改めて気を引き締めたいと思う。

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