感謝!そば屋のお母さん
高崎駅でだるま弁当を手に入れることが出来たのは、そば屋のお母さんの
おかげだった。
お腹が空いたので、一旦乗車したグリーン車の席に荷物を置きホームに降りた。
少し向こう側に店らしきものが見えたので近寄ってみると、そば屋だった。
中でお母さんがひとりで切り盛りしていた。
「だるま弁当あります」と貼紙があったが、カウンターの中にそれらしきものは
見当たらない。
その店でそばを食べる時間はなかったので、あえて聞いてみた。
「だるま弁当はありますか。」
「何分の電車に乗られますか。」
「この横の後6分後に出る電車です。」
「それなら大丈夫、上に取りに行って来ます。」
ええっと思ったが、気づいたらエプロンを外し、もう靴を履いていた。
「ここで待っていて下さいね。」
言葉が終わらない内に駆け出していた。
まさに電光石火。
風のように消え去った。
そばを食べていた男性が、目を白黒させていた。
俺の世話は誰がしてくれるんだと言わんばかり。
食べた丼くらい、自分で洗って行けと心の中で叫んだ。
発車2分前に戻って来た。
間に合わなかったら、代金900円はその気持ちに応えてプレゼントするしか
ないなと思っていた。
しかし、息も切らさず現れた。
さすが、かかあ殿下とからっ風の土地である。
まさに、風に乗ってかかあが舞い戻って来た。
「本当にありがとうございました。」
お母さんに最敬礼され、手を合わされ、そのうえ拝まれてしまった。
お礼を言いたいのは私の方である。
目を合わせ、微笑みをたたえ軽く会釈でお応えした。
気持ちの通じ合った瞬間だった。
| 固定リンク
コメント