「にっぽん丸、さようなら」
昨夜、最高のお別れの体験をした。
大船渡港野々田ふ頭に停泊していた客船「にっぽん丸」の出港に立ち会ったのだ。
にっぽん丸とは、商船三井客船が運航する大型客船だ。
今回研修でお伺いした先は、大船渡市役所様。
研修が始まる前に事務局である総務課のSさんから、今日夕刻、にっぽん丸のお別れ
セレモニーがあるとお伺いした。
毎回、市を上げて歓迎し、市を上げてお見送りしているとのこと。
船のお別れというと、学生時代に青函連絡船で一度経験して以来、ご無沙汰していた。
「お別れセレモニーですか、私もぜひ参加させて下さい。」
「どうぞお越し下さい。市民の皆さんも大勢いらっしゃいます。」
お言葉に甘えて、研修終了後ホテルへチェックインすると同時に、波止場へ向かった。
歩いて行ける距離だったのである。
岸壁に着いたのが、5時20分頃。
もう既に、市役所の大勢の職員の方々が、お別れセレモニーの準備をされていた。
受講者だった管理職の皆様もほぼ全員揃っていた。
すごいチームワーク。
停泊したにっぽん丸の前には、数多くのテントが張られていた。
そこで、炭火で焼いたホタテ貝やさんまの塩焼きが乗客の皆様に振舞われていた。
私もお相伴を預かったが、とてもおいしかった。
地元の自慢のお土産品も、ずらりと揃っていた。
出港は6時。
その前に、大権現の舞が披露された。
それも日本一の大きさの大権現つまりお獅子の舞だ。
シャベルカーにセットされた大権現が、お囃子に合わせて命を得たかのように
舞い踊った。
すごい迫力。
船のデッキを見ると、大勢の乗客の皆さんが見入っていた。
なるほど、乗客の皆さんを部屋から外に連れ出す効果も狙っていたのかもしれない。
やがて6時になり辺りが夕闇に包まれ始めた頃、出港のアナウンスが流れた。
いよいよクライマックスだ。
ここで登場したのが、甘竹大船渡市長様。
マイクパフォーマンスの開始だ。
お立ち台の上で叫び始めた。
「にっぽん丸の皆様、大船渡にいらして頂いてありがとう!」
「ありがとう!」
「白川船長様、また来て下さい!」
「また来て下さい!」
「皆さん、さんまはおいしかったですか!」
「おいしかったですか!」
市長様の後に、子供たちが黄色い声で復唱する。
この掛け合いが、何とも言えない温かい雰囲気を作り出していた。
そのうち、乗客の皆さんが返事をし始めた。
「おいしかったです!」
素晴らしい光景だった。
やがて船が岸壁を離れ始めた。
それと同時に蛍の光が流れ始めた。
その曲に合わせ、さらに市長様のマイクパフォーマンスが続く。
「来年もお待ちしています!」
「白川船長さん、よろしければ返事の汽笛をお願いします!」
「ボーーーーー!」(汽笛)
まさに会話の世界。
お別れのテープが何本も船から投げられ、皆それを受け取って最後の握手をした。
また、幸せの黄色いハンカチを、数多くの市民の方々が振り、別れを惜しんだ。
この黄色いハンカチも、もちろん市の職員の方々が用意したものだ。
本当に手が込んでいる。
夕張に包まれた船の明かりが水面に反射し、実に美しい情景を作り出していた。
蛍の光の演奏が終わるまで、船が見えなくなるまで、ずうと岸壁に立って見送った。
実にいい経験をさせて頂いた。
この歓送迎のセレモニー、どの港よりも大船渡港が一番乗客皆さんの評判がいい
とのこと。
それはそうだろう。
たいへんな力の入れようだ。
でも、とても心温まるイベントで、忘れてしまった大事なものを思い出させてくれる。
「絆」の大切さとありがたさというのだろうか。
私もすっかり虜になってしまった。
今日も市役所の昨日とは違う管理職の皆様との研修があった。
もちろん、昨日のこの話題から入った。
そして最後に隠し持っていた黄色いハンカチを振って挨拶させて頂いた。
「皆さん、さようなら、また11月にお会いしましょう。きっと来て下さいね。」
拍手喝采であった。
来週の10/6(水)7(木)には、「飛鳥Ⅱ」が来るとのこと。
郵船クルーズが運航するさらに大きい客船だ。
そして、なんとこの大船渡港で一泊するとのこと。
これは、たいへん珍しいことだそうだ。
地元を上げて歓迎する大船渡の皆さんの熱意が伝わった結果だろう。
だんだん寒くなる中、風邪を引かないように十分注意しながら、熱烈歓迎をお願いしたい。
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