間に合わず、列車の中の忘れもの
先日、神戸線の新快速にのった際、ハンドバッグのほやほやの忘れ物に遭遇した。
大阪でどっと乗客が降りた後、乗って来た中年の男性が、降りて行く乗客に
向かってこう叫んだ。
「だれかバックを忘れていない?」
声の主を見ると、窓際に置かれた茶色のハンドバッグを指差している。
今、下車した乗客のものと思われる。
「あっ!」
私も、ハンドバッグを見るなり、そう叫んでしまった。
しかし、そこで行動が止まってしまった。
ドアがすぐに閉まると直感的に思ったからだ。
だが、閉まらなかった。
頭の中では、ドアのそばに駆け寄り、
「どなたか茶色のハンドバッグを忘れていませんか。」
と叫ぶ自分がいた。
しかし、現実は体が動かない。
そのうち、その席に座った中年の女性がそのハンドバッグを持って動いた。
列車を降りて発車を告げている若い女性の車掌さんへ、ドア越しに手渡したのだ。
少し戸惑った車掌さんが、それを受け取りながら車中に戻った。
時計をしきりに見ている。
落とし主が慌てて戻って来るのを、待っているのかもしれないと思った。
最初に叫んだ男性も、心配そうにホームの先に目をやっている。
そのうち、発車ベルが鳴り終わり、ドアが閉まって列車が動き出した。
これら一連の動きは、わずか3分程度の時間だった。
お互いに気遣いながらも、ある方は行動し、ある者は体が動かなかった。
咄嗟の場合、日頃からの鍛錬がものを言う。
私も、まだまだということか。
考えを素早く行動に移せるよう、さらに切磋琢磨して行きたい。
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