一滴の波紋
前日泊まったホテルの大浴場で、深夜寝る前に入った湯船の中での出来事。
誰もいない風呂で、ぼんやりしながら湯に浸かっていた。
そうしたら、天井から一滴の水滴が湯面に落ちて来た。
音も立たず、全く無音の世界だ。
じいと見ていると、その水滴が波紋となって周囲に広がって行った。
そして、また一滴。
同じ動きが、その後何度も繰り返された。
いつもだったら、何気なく見過ごす出来事だが、その日は違った。
何かに吸い寄せられるように見入ってしまったのだ。
「悠久の時間の流れ」
広がって消えて行く波紋の向こうに、果てしない時間の広がりを
感じたのかもしれない。
このような感覚に陥るのは、久しぶりだった。
「忙中閑あり」
忙しい中だからこそ、この一瞬の出来事が新鮮に映ったのかもしれない。
至福の時間を、一人ゆっくり味わった。
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