フェリーチェ・ベアトの東洋
昨日、東京都写真美術館で開催されている「フェリーチェ・ベアトの東洋」展
へ行って来た。
新聞に掲載されていた案内を見て、これは一見の価値ありと思ったのだ。
驚いた。
あまりにも鮮明。
これが写真かと。
写真が活きている。
本人の魂が移ったような写真ばかりだった。
風景、人物、そして戦場の写真等、様々な東洋を写し込んでいた。
ベアトは、幕末から明治のかけて日本に滞在したイタリアの写真家。
日本に来る前に、クリミア戦争、インド動乱(セポイの乱)、中国の
第二次アヘン戦争の取材を経て来た。
戦争での屍を初めて撮影した写真家でもある。
「ん、何だこれは」
目を見張って見ると、それは広場に散在する骸骨だった。
当時の写真とは思えない程、精密でリアルな現実がそこにあった。
一方、鶏卵紙に撮った写真に水彩で着彩した美麗な写真もあった。
手彩色写真というらしい。
「冬着姿の女性」「長弓を持つ侍」等、まるで絵だった。
パノラマ写真も素晴らしかった。
「愛宕山から見た江戸」は、本当に江戸の町を見下ろしている
錯覚に陥った。
まさに、タイムスリップの瞬間。
飾らない現実を撮った写真は、無言の説得力を有している。
まるで、その現場に立っているかのような感覚に襲われる。
「素晴らしい」と言うより、「これが我々が辿って来た歴史か」と言う
複雑な思いの方が強かった。
その我々も、現在歴史を作っている。
後世の方々に、「さすが」と思われる足跡を残して行きたいものだ。
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