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2012年3月16日 (金)

フェリーチェ・ベアトの東洋

昨日、東京都写真美術館で開催されている「フェリーチェ・ベアトの東洋」展
へ行って来た。

新聞に掲載されていた案内を見て、これは一見の価値ありと思ったのだ。

驚いた。
あまりにも鮮明。
これが写真かと。

写真が活きている。
本人の魂が移ったような写真ばかりだった。

風景、人物、そして戦場の写真等、様々な東洋を写し込んでいた。

ベアトは、幕末から明治のかけて日本に滞在したイタリアの写真家。
日本に来る前に、クリミア戦争、インド動乱(セポイの乱)、中国の
第二次アヘン戦争の取材を経て来た。

戦争での屍を初めて撮影した写真家でもある。

「ん、何だこれは」

目を見張って見ると、それは広場に散在する骸骨だった。
当時の写真とは思えない程、精密でリアルな現実がそこにあった。

一方、鶏卵紙に撮った写真に水彩で着彩した美麗な写真もあった。
手彩色写真というらしい。
「冬着姿の女性」「長弓を持つ侍」等、まるで絵だった。

パノラマ写真も素晴らしかった。
「愛宕山から見た江戸」は、本当に江戸の町を見下ろしている
錯覚に陥った。
まさに、タイムスリップの瞬間。

飾らない現実を撮った写真は、無言の説得力を有している。
まるで、その現場に立っているかのような感覚に襲われる。

「素晴らしい」と言うより、「これが我々が辿って来た歴史か」と言う
複雑な思いの方が強かった。

その我々も、現在歴史を作っている。
後世の方々に、「さすが」と思われる足跡を残して行きたいものだ。

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