「学問のすすめ」再読
学生時代に読んだ、福沢諭吉の「学問のすすめ」を再読した。
致知出版社から、「いつか読んでみたかった日本の名著シリーズ」
の一巻目として、新たに刊行されたのを再読の機会と捉えた。
学生の時は、慶応義塾に在学していた事もあり、文語調の文体を
かなり苦労して読んだ思い出がある。
今回の書籍は、現代語に置き換えてくれているため、内容を改めて
吟味しながら味わう事が出来た。
再読して改めて思った事は、明治維新の文明開化の折、人々の
啓蒙を、命がけで行った様子が、迫力を持って伝わって来た事だ。
いろいろな分かり易い事例を用い、飽きさせない工夫が各所に見られる。
言い切る所は、はっきり言い切っている。
孔子の言葉も、数か所で引用しているが、決して肯定的に扱って
いるばかりではない。
時には、批評も加えている。
赤穂浪士のかたき討ちも、是とはしていない。
人心を一新するために、敢えて持論から正しいと思う事を
正々堂々と論じている。
これは、よほど軸が通っていないと出来ない所業だ。
場合によっては、袋叩きに会う可能性がある。
改めて、心に浸み入った言葉は次のとおり。
「学者は、努力しなければなりません。思うのは学ぶのにかなわない
ものです。多くの本を読み、多くの物事に接し、素直な心と輝く目で
真実のありかを求めていかねばなりません。」
ここで言う学者は、今では「我々」と置き換えてもいいだろう。
「交わりを広くするのに肝心な事は、この心事をなるべくたくさんに
することです。多芸多能を目指し、一色に偏らず、様々な方向を向いて、
人に接するのです。」
これらは、キャリアや自己実現に繋がる内容。
それ以外にも、今に繋がるテーマを、至る所に見つける事が出来た。
140年の年月を経た今も、全く色あせていない。
改めて、いろいろ考えるきっかけを与えられた。
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