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2012年10月 1日 (月)

「武士道」再読

新渡戸稲造の「武士道」を再読した。
これも学生時代に読んで以来となるため、35年ぶりとなる。

この間、日本は多くの出来事を経験して来た。

オイルショック、円高、バブル経済、長期不況、震災、
そして国境問題まで。

経済的な問題から広がりを見せ、社会・政治問題まで、
深刻の度合いを増している。
まさに、「前門の虎、後門の狼」状態。

そのような中で、かつて日本人の精神的な支柱であった
武士道を、改めて振り返りたくなった。

そもそも原本は、1900年に米国フィラデルフィア出版された英語の本。
そのため、欧米人向けとなっている関係上、キリスト教に関連した
比喩表現等が多く、日本人には返って分かり辛い個所もある。

しかし、改めて武士道が持つ、正義、勇、仁、礼、誠、名誉、忠義
という概念を確認する事が出来た。

印象に残った言葉は、以下のとおり。

「最も先進的な思考を持った日本人でも、一皮むけば、そこには
サムライが現れます。」
「何年もの年が流れ、武士道の習慣が葬り去られ、その名さえ
忘れられる日が来ても、その香りは空中を漂っています。」
「路辺に立ちて眺めやれば、私達ははるか遠くの見えない丘から
漂って来る、その爽やかな香りを、いつでも嗅ぐ事が出来るのです。」

これを感じたのが、東日本大震災の時だったように思う。

多くの方が、命懸けで誰かの事を考えた。
絆という言葉の下、一体となって危機を乗り越えようと努力している。
己が信じる正しい事を、成し遂げようとしている。

これらの勇気や一体感、規律正しい行動は、世界中に感動を与えた。
我々の血の中に、確かに日本人の血が流れている事を、我々自身が
確認した瞬間ではなかったか。

現在、日本を取り囲む問題は多い。
しかし、これらに正面から冷静に向き合う姿勢こそが、武士道の真髄
なのかも知れない。

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