「武士道」再読
新渡戸稲造の「武士道」を再読した。
これも学生時代に読んで以来となるため、35年ぶりとなる。
この間、日本は多くの出来事を経験して来た。
オイルショック、円高、バブル経済、長期不況、震災、
そして国境問題まで。
経済的な問題から広がりを見せ、社会・政治問題まで、
深刻の度合いを増している。
まさに、「前門の虎、後門の狼」状態。
そのような中で、かつて日本人の精神的な支柱であった
武士道を、改めて振り返りたくなった。
そもそも原本は、1900年に米国フィラデルフィア出版された英語の本。
そのため、欧米人向けとなっている関係上、キリスト教に関連した
比喩表現等が多く、日本人には返って分かり辛い個所もある。
しかし、改めて武士道が持つ、正義、勇、仁、礼、誠、名誉、忠義
という概念を確認する事が出来た。
印象に残った言葉は、以下のとおり。
「最も先進的な思考を持った日本人でも、一皮むけば、そこには
サムライが現れます。」
「何年もの年が流れ、武士道の習慣が葬り去られ、その名さえ
忘れられる日が来ても、その香りは空中を漂っています。」
「路辺に立ちて眺めやれば、私達ははるか遠くの見えない丘から
漂って来る、その爽やかな香りを、いつでも嗅ぐ事が出来るのです。」
これを感じたのが、東日本大震災の時だったように思う。
多くの方が、命懸けで誰かの事を考えた。
絆という言葉の下、一体となって危機を乗り越えようと努力している。
己が信じる正しい事を、成し遂げようとしている。
これらの勇気や一体感、規律正しい行動は、世界中に感動を与えた。
我々の血の中に、確かに日本人の血が流れている事を、我々自身が
確認した瞬間ではなかったか。
現在、日本を取り囲む問題は多い。
しかし、これらに正面から冷静に向き合う姿勢こそが、武士道の真髄
なのかも知れない。
| 固定リンク
コメント