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2012年10月10日 (水)

「西郷南洲遺訓」読了

西郷隆盛は、残念ながら一冊も本を書かなかった。

しかし、その言葉の数々を後世に伝えようと著した方々がいた。
その方々とは、庄内藩(現在の山形県庄内地方)の藩士達。
出身地の薩摩藩ではなく、幕府軍として敵対していた者達だ。

西郷さんに弟子入りして、その教えを「西郷南洲遺訓」として書き記した。
この一件を捉えただけでも、西郷さんの懐に深さが分かる。

本編41項目、追加2項目と小編だが、その言葉は味わい深い。

最も有名な言葉が、「敬天愛人」だろう。

天の理は存在し、生を充実させるにはそれを実践する事である。
そして、天が人々を平等に愛してくれるように、
自らも、他人を愛さなければならない。

「人を相手にせず、天を相手にせよ」も有名だ。

人を相手にしないで、天を相手にするようにせよ。
大いなる天を相手にするようなつもりで、自分自身の精一杯を尽くし、
人の非をとがめるような事をしてはならない。

全てが愛情に満ち、スケールの大きい言葉となっている。

しかし、一方で、人が良すぎる面もあったようだ。
征韓論者と誤解されたり、最後は若者に加担して西南戦争で没した。

だが、深い所では、自分の主張を終始一貫して守り通した。
そのため、一時期は、遠島処分にもなっている。

その遠島先のひとつが、奄美大島だ。

奄美大島の龍郷町には、今も西郷さんの謫居(たっきょ)した住まいが
残されている。

10月下旬に、母と次女と妻と共に、奄美大島へ行く事となっている。
一度訪れた事があるが、皆を案内して再び訪れたい。

「ここに、西郷あり」

そんなメッセージが伝わって来る住まい。
改めて、言葉の数々を味わって来たい。

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