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2012年12月13日 (木)

「五輪書」読了

宮本武蔵の兵法書である「五輪書」を再読した。

五輪とは、地・水・火・風・空を表している。
その言葉が、そのまま「地の巻」のように、章立てとなっている。

地・水・火・風・空とは、仏教で論じられている世界。
お寺へ行くと、五色幕が張られているが、その黄・白・赤・黒・青が
これらの言葉に対応している。

また、それは「五つの智恵」も表している。
それ故、五輪書にも総括した「智力」という言葉が出て来る。

実は、五輪書は単なる兵法指南書の域を超え、生き方まで
示す奥深い内容となっている。

ただし、読み手の力量が問われる。
単に字面を追っているだけでは、全く理解出来ない。
一文読むごとに、深い思索が求められる。

特に、最後の「空(くう)の巻」の下りが、真骨頂のように思う。

「常に怠る事なく、「心(しん)(重い心である「智力」)」と「意(い)(軽い
心である「気力」)」の2つの心を磨き上げ、「観(かん)」と「見(けん)」
の2つの眼を研ぎすます事で、1点の曇りもなく迷いが晴れたら、
その時こそが真の空であると知るべきである。」

「「まっすぐである事」を全ての「本(もと)(基本)」とし、「真(しん)
(まこと)」の心」を「道」として、我が二天一流の兵法を広く励行し、
公明正大で大局的な考え方に徹しながら、空を道とし、道を空
と見る生き方をする事である。」

これ以外にも、独創的な発想、深層心理の読み方、勝ち残る
戦い方等、多くの示唆に富んだ言葉に溢れている。

「考えるべき事は、ただ一つ。敵が死ぬように!それだけである。」

目的にただ集中せよ。その場に及んだら、小手先は通用しない。
生死を何度も切り抜けて来た、厳しい言葉だ。

武蔵が晩年に描いた龍の書画を見た事があるが、鬼気迫る気迫
を感じた覚えがある。

これからも、何度も読み返して行きたい。

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