「五輪書」読了
宮本武蔵の兵法書である「五輪書」を再読した。
五輪とは、地・水・火・風・空を表している。
その言葉が、そのまま「地の巻」のように、章立てとなっている。
地・水・火・風・空とは、仏教で論じられている世界。
お寺へ行くと、五色幕が張られているが、その黄・白・赤・黒・青が
これらの言葉に対応している。
また、それは「五つの智恵」も表している。
それ故、五輪書にも総括した「智力」という言葉が出て来る。
実は、五輪書は単なる兵法指南書の域を超え、生き方まで
示す奥深い内容となっている。
ただし、読み手の力量が問われる。
単に字面を追っているだけでは、全く理解出来ない。
一文読むごとに、深い思索が求められる。
特に、最後の「空(くう)の巻」の下りが、真骨頂のように思う。
「常に怠る事なく、「心(しん)(重い心である「智力」)」と「意(い)(軽い
心である「気力」)」の2つの心を磨き上げ、「観(かん)」と「見(けん)」
の2つの眼を研ぎすます事で、1点の曇りもなく迷いが晴れたら、
その時こそが真の空であると知るべきである。」
「「まっすぐである事」を全ての「本(もと)(基本)」とし、「真(しん)
(まこと)」の心」を「道」として、我が二天一流の兵法を広く励行し、
公明正大で大局的な考え方に徹しながら、空を道とし、道を空
と見る生き方をする事である。」
これ以外にも、独創的な発想、深層心理の読み方、勝ち残る
戦い方等、多くの示唆に富んだ言葉に溢れている。
「考えるべき事は、ただ一つ。敵が死ぬように!それだけである。」
目的にただ集中せよ。その場に及んだら、小手先は通用しない。
生死を何度も切り抜けて来た、厳しい言葉だ。
武蔵が晩年に描いた龍の書画を見た事があるが、鬼気迫る気迫
を感じた覚えがある。
これからも、何度も読み返して行きたい。
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