アオウミガメと異常接近
4月に奄美で潜った最後の7本目で、アオウミガメと異常接近した。
その距離30cm。
すぐ目の前を、泳ぎ去って行った。
場所は、手広海岸。
岩場の棲家に伺うと、奥の方で昼寝をしていた。
ピクリともしない。
そこで、インストラクターのHさんが、手を口に当てて声を発した。
「何だよ。気持ちいい所なのに。」
ものぐさそうにこちらをちらっと見て、動き始めた。
しかし、我々が巣穴の入り口にいたため、出るにはこちらに向かって
来るしかない。
少しためらいながら、でも、これ以上邪魔しないでねと言いたげな
素振りを見せながら、こちらへ泳いで来た。
カメの泳ぎは、実にゆったりとしている。
手足を僅かに動かすだけで、方向転換も自由自在。
大きな体だが、ひらひらと舞うように動く。
やがて、我々の目と鼻の先にやって来た。
手を出すと、届くよう。
でも、ここはダイバーとして大事な心得がある。
「手を出してはいけない。」
まあ、出しても、かわされるだけだが。
さて、いよいよ目前に迫った。
しっかりと、見送ってあげよう。
目線を切らずに、ただ一心に目を見つめた。
そうしたら、向こうもこちらに目を合わせて来た。
「わっ、カメの目って、何て澄んでいるんだ!」
「瞳に光彩、人間と同じ構造だ。」
目が合った瞬間、いろいろな思いが交錯した。
カメの方は、私の目を見て、何を感じたのだろうか。
自然の生き物との対話。
たとえ言葉が通じなくても、何かを感じ合う。
お互いの存在を確認し合い、尊重する。
素晴らしい体験を、させてもらった。
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