「二宮金次郎の幸福論」読了
二宮金次郎の名前は、日本人なら知らない者はいないだろう。
よく小学校に、銅像が建っていた。
私の過ごした小学校にも、職員室の前の中庭に、凛と建っていた。
江戸後期の疲弊した農村を立て直した農政家。
その数は、関東十国600村以上に及んだと言う。
これらの業績を称えられ、後に士分に採り立てられた。
幼名を金次郎と言い、その後は尊徳と改めた。
その7代目子孫が、中桐万里子(なかぎり まりこ)氏。
この度、「二宮金次郎の幸福論」として、初めて書籍を出版された
ので、さっそく購読した。
金次郎は、名前は知っていたが、その実態はよく把握していなかった。
図書は、5代目祖母からの伝承と語録の解釈を自分なりに行った
内容で、生き生きと記されていた。
子供の頃から金次郎を身近に感じて来た者ならではの、等身大の
金次郎が語られていたように思う。
金次郎は、私が思っていた以上に「行動」を重んじる人物だった。
まず行動し、ここから成果を得て行く。
目的ありきではなく、足元を見て、今出来る事に真摯に取り組む。
そうすれば、成果は自然と得られる。
だから、変な力みが全くない。
自然体そのもの。
これは、キャリア論の「計画された偶然理論」と同じ。
また、相手を信頼して臨む姿は、人材育成論のラーニングのアプローチ。
読みながら、実践を通して、これらを体得して言った金次郎の感性の
鋭さと粘り強さ、そして相手に対する限りない愛情と自信を感じ取った。
金次郎は、182cm 94kgの巨漢だったとの事。
銅像からは、全く伺い知れない事実。
薪を背負った金次郎が読んでいた本は、中国古典の「大学」。
きっと、「行動」を「知識」で検証していたのだろう。
これは、陽明学の「知行合一」の考え方。
見習いたいものである。
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