スケッチの魅力
「へー、Iさん、これ特徴がよく出ていますね。」
「そう、とりあえず図鑑を見ながら描いたんだけど。」
今年の夏、ネイティブシー奄美のフロントで交わした会話の一部。
奄美へ出発する前日の夜、自宅の部屋で、何気なしに図鑑を
見ながら、コピー用紙に鉛筆で書いた魚のスケッチ。
ホテルで続きを書こう思い、持って行っていた。
「こうやって描くと、魚の名前が覚えられるね。」
「確かに。これ頂けませんか。」
「色も付けていないし、もう少し練習してからね。」
この会話をしたMさんは、ご家庭の事情で、誠に残念ながら
既に退社してしまった。
もう、彼女にプレゼントする事は出来ない。
でも、彼女のお陰で、スケッチの魅力を、改めて感じ取った。
その時は、思い付きだったため図鑑を見て書いたが、
これを、実際に見た姿を書いたらどうなるだろうか。
これは、面白い事になりそうだ。
海の中の絵としては、クリスチャン・ラッセン氏が有名。
彼は、ハワイに住むサーファー兼画家。
実際には、絵と言っても版画。
しかし、その躍動感や色彩は、目を見張るものがある。
だが、私が目指したいものは、もっとシンプルなもの。
まずは、鉛筆で線を描き、その間を色鉛筆で軽く色づけ
する程度としたい。
魚を、その特徴的な動作の瞬間を捉え、描き出す事を
考えている。
それも、カメラを使わず、記憶の世界で。
こうなると、「写実」ではなく「心実(しんじつ)」の世界となる。
「心実」とは、私の造語だが、心を写し取るという事。
眼だけではなく、その心も海の世界で遊ばせたい。
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