壺中日月長(こちゅうにちげつながし)
禅の言葉(禅語)には、深い教訓が込められている。
その一つに、壺中日月長(こちゅうにちげつながし)という
言葉がある。
意味としては、せわしい現実から一歩身を引き、自己を
回復する事により、生きる力を再生すると言う事。
中国の宋の時代の公案書「圜悟(えんご)語録」に収められ
て広く知られた故事。
役人が町を見回っていると、ある薬売りの老人が、時々
店先の大きな壺の中に入っていた。
不思議に思った役人は、老人に頼んで壺の中に一緒に
入ってみた。
すると、その中は俗界を離れた桃源郷だった。
これは、現代を生きる私達も、大事にしたい言葉。
現実の世界で、断固として戦い抜く事も必要。
しかし、いつもこれでは、神経が参ってしまう。
適度に歩を緩め、リフレッシュする事が欠かせない。
まさに、セルフマネジメントの世界。
私の場合は、いくつも壺を持っている。
ジム、オペラ、奄美等。
しかし、これらは、ただの壺ではない。
「癒しの壺」であると同時に、「出会いの壺」でもある。
そこから、新たな世界が広がって行く。
「誘(いざな)いの壺」でもある。
壺に、あまり多くの意味を持たせない方が、いいの
かも知れない。
でも、壺の中に、また壺を見つければいいのでないか
と思っている。
そして、壺は限りなく、広く深くなって行く。
現実と壺が一体となる。
それが、禅の極致かも知れない。
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