「大学」を味読する
「Iさん、いろいろと趣味をお持ちでいいですね。」
ジムのサロンで、カウンターの中に居たスタッフのYさんに
そう話し掛けられた。
ちょうど、イタリアオペラの楽譜を拡げて復習していた時。
「これは、趣味ではないよ。」
「自分の道を知るために、行っている修練だよ。」
これをきっかけに、一仕切り、話しに花が咲いた。
他のお客様が居なかった事も、幸いした。
「私の名前に哲の字が入っているためか、人の心理に
ついて、とても興味を持っています。」
「何か、真理を探究する、お勧めの本はありませんか。」
「では、大人(たいじん)になるための書である「大学」は
どうだろうか。」
私は、大学全篇と論語の54章句を、毎朝交代々に
素読をしている。
「読めば読むほど、味わい深いよ。」
「さっそく購入したいと思います。」
翌日、Yさんと改めてお会いしたら、ネットでさっそく手配
したとの事。
行動が素早い。
大学も、他の中国古典と同じように、読めば当たり前の
事が書いてあるだけ。
しかし、2500年の風雪に耐えて読み継がれて来た書には
表記された以上の意味が、行間に込められている。
読みながら、自分の人生と照らし合わせる。
このように行動して来ただろうか。
この内省が、深みと広がりをもたらしてくれる。
「Yさん、読み終わったら、また話しをしましょうね。」
Yさんが、笑顔で微笑んだ。
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