「風姿花伝」読了
「これは、私にとって最高の指南書だ!」
思わず、そう心の中で叫んでしまった。
「風姿花伝」とは、能の秘伝書。
著者は、父の観阿弥と共に能の基本を作った世阿弥。
1400年代、室町時代の作。
当時、能は猿楽と呼ばれ、様々な一座が得意技を
活かして演じていた。
激しい競争に打ち勝つため、世阿弥は自分が培った
ノウハウを、弟子達に向けて数々の伝書を書き残した。
その中で最も有名なのが、30代後半の時に記した当書。
本来は能の演劇論だが、示唆に富んだ数々の教えは
研修講師としての振る舞いにも、とても参考になる。
強いては、人生論にも通じる部分が数多くある。
「初心忘れるべからず」も、この書からの言葉。
成長のために、経験を糧とし努力を重ねる事が大事。
「秘すれば花」も、有名な言葉。
切り札は明かさず、知らぬ間に相手を引き込む。
世阿弥が求めた、能の本質は何か。
それは、人々を幸せにする事。
結果として、自分も幸せになれる。
これは、単なるノウハウ書ではない。
そのベースとなる自分のあり方を問い掛ける書と
なっている。
能の舞台を、ビジネスの場に置き換える。
また、人生に置き換える。
置き換えに当たっては、意訳が必要。
それがまた、自分の力量を推し量るバロメーター
にもなる。
これから、何回も読み直したい。
| 固定リンク
コメント