喜びの再会
「32番の方、どうぞ。」
声が掛かって、ブースに入った。
お互いに、顔を合わせるなり、真顔になった。
「Aさんではないですか。」
私が、先に声を発した。
「お久しぶりです。4年ぶりではないですか。」
「ええ、よく覚えていらっしゃいましたね。」
場所は、ある信託銀行の窓口。
4年前に、他支店から当支店に口座を移した。
その時に、お世話になった女性の係りの方。
「印象に残っていました。」
「不特定多数の方とお会いになっているのに、凄い事です。」
「それよりも、ブースが多数あるのに、お会い出来るとは。」
「本当にそうですね。この再会は、運命ですね。」
用件を相談する前に、一気に盛り上がってしまった。
Aさんは、実は私の営業担当。
資産形成等の案内を、何回も頂いていた。
しかし、この4年間、一切ご無沙汰。
客としては、決して上顧客ではない。
むしろ、その反対。
依頼した手続きを進めて頂く間も、話しに花が咲く。
家の事、家族の事、そしてお互いの将来の事。
最後に、改めて名刺交換をした。
銀行が統合となり、私も肩書きを変えたため。
まだ、さらにお話しがしたかったが、そうも行かない。
数人の方が、お待ちになっている。
「また、機会があれば、お伺い致します。」
彼女の笑顔を後に、ブースを後にした。
| 固定リンク
コメント