「随処楽」の言葉と共に
母親から、譲ってもらった額がある。
そこに書かれている言葉が、「随処楽」。
達筆な毛筆で描かれている。
書き著された方は、樋口尾山(ひぐち びざん)伯。
樋口伯は、母の、かつての書道の師。
母が依頼し、我が井上家のために記して頂いた。
母が兵庫県の実家を引き払う時、多くのものを
処分して来た。
しかし、この書は私に引き継ぐため大事に持参した。
読み方は、「随処に楽しむ」。
意味は、「いつでもどこにいても、今を楽しむ」。
今、置かれている境地を是として、心から楽しむ。
どんな場面に遭遇していても。
言葉で言う事は、簡単。
しかし、これは、かなりハイレベルな世界。
どうしても、悲観的に捉えてしまう事が多い。
論語にも、「知好楽」と言う言葉がある。
知るよりも好む、好むよりも楽しむが優っている。
楽しむ世界は、自律し、物事を極め、心に余裕を
持てた時に、初めて訪れる世界なのかも知れない。
笑ったり、泣いたりした後のご褒美。
そして、その時点が、自分を極める出発点なのかも。
道は、遥か遠くまで続いている。
楽しみながらその道を歩めれば、どんなに幸せだろう。
額は、金泥の下地に桑の枠で仕立てられている。
金泥とは、金粉をにかわで溶いたもの。
家宝に相応しい作り。
今後、改めて額を掲げ直し、精進して行きたい。
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