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2019年10月29日 (火)

「貞観政要」読了

貞観政要(じょうがんせいよう)とは、唐の
太宗/李世民(りせいみん)と臣下との問答や
議論を集大成した書物。

帝王学の教科書として、中国のみならず
日本でも読まれて来た、上に立つ者の心得集。

以前から読みたかったが、今回その機会を得た。
ただし、読んだと言っても、本書ではなく
谷沢永一氏と渡部昇一氏の対談集。

太宗は、諫議大夫(かんぎたいふ)や諫臣(かんしん)
を置き、臣下の諫言つまりいさめる言葉を聴き入れた。

諫議大夫の一人に魏徴(ぎちょう)という臣下が居たが
この人物は、倒した兄である李建成の側近。

このような前歴の持ち主でも、人物を見込んで、
自分に対するご意見番として重用する。
これは、なかなか出来る事ではない。

現代風に言うと、部下からのフォロワーシップを
しっかりと受け入れたと言う事。

その言葉を受け止め、善政つまり良きリーダーシップ
を発揮した。
好き勝手に行動した他の皇帝に対し、誠に稀な存在で
ある啓蒙君主であったと話し合われていた。

渡部氏が最後に、太宗の一番偉い所は、成功体験を
「止揚」する発想があった事だと言われていた。

この止揚という言葉、ヘーゲルの弁証法に通じる。
それは、「矛盾の止揚による発展」の法則。
つまり、物事は、矛盾の止揚により発展するという事。

太宗は武力で国家を統一したが、その後は武力ではなく
その徳で国家の安定をもたらした。
しかし、だからと言って武力具備を否定していない。

二項対立ではない。
両者を肯定し、包含し、統合し、超越する事によって
より高い次元にものへ昇華していく。

このバランス感覚が、上に立つ者の究極の心得。
そのように感じた。

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