究極の質問
5歳の孫の優真が、ますます虫に夢中だ。
夏はセミだったが、今はコオロギ探し。
しかし、声はすれど姿は見えず。
セミのようには捕獲が出来ない。
先日、七五三で神社へ行った時、
袴姿で大木の下にうずくまっていた。
手には、アブラゼミの羽が。
「じいじ、セミは居なくなってどこへ行ったの。」
究極の質問が来た。
「生まれる前に戻ったんだよ。」
「ふ~ん。それはどこ。」
「魂は天に上り、体は地に戻ったんだよ。」
手を胸に当て空を見上げ、それから手を
地面にさらした。
「ふ~ん。」
「優真も、5年前には影も形もなかった。
でも、今、ここに居る。
そして、いつか、元に戻るのさ。」
「じいじも同じ?」
「そう、じいじも同じ。
だから一緒に居るこの時間を、大事にしようね。」
難しそうにしていた顔が、ぱっと明るくなった。
「帰ったら、一緒に遊ぼ。」
そう来たか。
しかし、優真と遊んでいる時間は至福の時。
疲れるけれど、これに勝る喜びはない。
「分かった、ぽかぽか広場へ行こうか。」
「うん!」
力強い返事が、返って来た。
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