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2021年6月30日 (水)

「葉隠」を読む

久しぶりに、何か新刊がないか致知出版社の
ホームページを訪ねた。

すると、「いつか読んで見たかった日本の名著シリーズ」
で、新たな図書が発刊されていた。

それが、『葉隠』。
葉隠といえば、「武士道とは死ぬことと見つけたり」の
フレーズを思い出す。
しかし、それ以上の事は、実は知らなかった。

ちょうどいい機会だと思い、現代語訳ではあるが
さっそく購入し、現在読み進めている最中。

葉隠は、元佐賀藩士であった山本常朝(じょうちょう)の
口述を、同藩士の田代陣基(つらもと)が書き取った内容。

原典は、全11巻もある。
今回の著作は、それらの核となる第1と第2を中心として
約250項目の言葉を示してくれている。

まえがきに、葉隠を象徴する最も強烈な言葉として
「死に狂い」が上げられていた。

それは、死物狂いの比ではなく、死に向かって狂った
ように猪突猛進する事を究極の目的としている。
この一言だけで、この書の凄みが伝わって来る。

書名である葉隠の由来も、初めて知った。
西行の和歌が出所という説が、有力な模様。

「はかくれに散り止まれる花のみぞ 忍びし人に
 あふ心地する」
:美しかった花々は次々と散ってしまったが、葉の陰に
 隠れるようにしてたった一輪だけ散らずに残っている
 美しい花があり、ひっそりと人目を忍んで生きている人
 に逢ったような気持ちがする

この歌は、常朝の言う「至極の恋は忍ぶ恋」の忍ぶ姿そのもの。
葉は表裏一体だが、人目に触れるのは表。
裏は表の陰で人知れずにひっそりと生きている。
この著は、隠棲する常朝が、堕落した当時の武士達に
大活を入れるため行った昔語りではないかと著者が論じていた。

この書には、鍋島武士の「大高慢」精神が満ち溢れている。
過激な一面もあるが、それが故に考えさせられる事が多い。

この後も、じっくりと読み進めて行きたいと思う。

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