「和敬静寂」の心とは
茶道裏千家第15代である、前家元 千玄室氏の
談話を拝読する中で、ある言葉と出会った。
それが、「和敬静寂(わけいせいじゃく)」。
この言葉は、利休が信長や秀吉に説いた言葉。
茶室に入る時は、まず、刀を刀掛けに置く。
その上で、皆と一緒に菓子を食べ、茶を頂く。
そこでは、お互いに「和」合い、「敬」合い、
その結果、清らかとなり余計な気持ちが消えていく。
この「寂」は、「静」かで動かない不動心とも言える。
これは、深い味わいのある言葉だ。
茶道には全く縁はないけれど、確かに抹茶を頂くと
不思議と心が落ち着く。
いや。抹茶だけではない。
紅茶やコーヒー等、暖かい飲み物は、それだけで
心が和む。
茶道の精神とは、『平和』との事。
千玄室氏は、この平和の精神を、お茶を通して
人々に伝えるため、世界各地を歴訪されている。
その功績を称えられ、多くの国で勲章を授与された。
しかし、今は「何もいらない」心境との事。
生きている事に感謝し、自分の役割に徹する事だけ。
何という境地だろう。
最後に、以下の事を仰っていた。
「私たち家元は、一つの大きな荷を背負ったカタツムリが
木の枝を這っていくようなもので、その荷を降ろすことは
決してできません。」
「それに家元は、誰よりも努力する修道の人でなくては
いけません。」
ここまで全うして生き切るのが、家元なのか。
100歳にして、今も凛とした立ち姿の理由が
分かった気がした。
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