賢人の警鐘(人類の体と脳)に思う
日経ビジネス最新号に、目を引く記事が掲載されていた。
それが、『賢人の警鐘「人類の体と脳は20万年前のまま。
急速な進歩に耐えきれていない。」』
著者は、進化人類学者である長谷川眞理子氏。
現在進んでいる技術革新に、人間が対応し切れていない。
そのために、いろいろな歪が生じている。
もう一度原点回帰して、根本的な解決策を探るべきだという主張。
本文の一部が、以下のとおり。
・人類を進化の観点から見ると、最近の数十年から数百年の変化は凄まじい。
・それだけに、生き物としての本来の人類と現代社会が大きく乖離し、
精神疾患、生活習慣等の歪を生んでいる。
・私たち人類は、約20万年前にアフリカの一角で誕生した。
・一部地域で農耕と牧畜が始まり、都市文明が発展 したのはここ1万年。
・現代の先進国に暮らす人々も、20万年前の化石のヒトも、皆同じ体と脳、
そして基本的に同じ遺伝子構成を持っている。
・変化したのは技術であり、私たちの体や脳ではない。
・人の感情や欲求は、20万年前のまま。
・狩猟採集社会では、日の出と日の入りと季節の変化が生活のリズムを作る。
・今の社会は、時計とカレンダーに制御されている。
・この現代社会の枠には対応出来なければ、精神的な疾患ありと見なされる。
・食習慣にも、本来の生活とのズレがある。
・狩猟採集社会では、砂糖や塩、脂肪は手に入れにくかった。
・そのため、摂取可能な時に多く取れるよう「おいしい」と感じるようになった。
・昔はそれで問題なかったが、今では取り過ぎで生活習慣病になってしまう。
・改めて、私たちの体と脳が20万年前のままだという視点を持つべきだ。
・人類が辿って来た道筋を知る事で、現在抱えている問題の理由が分かる。
・すると、状況を変えるには何が必要なのか、多くの気づきを得られる。
・技術が生み出した現代社会との間に生じるギャップをつぶさに見ていけば、
対症療法ではなく、より自然で根本的な解決策が見つかるはずだ。
まさに、仰るとおりだと思う。
進んで便利になった技術を、廃棄する事は出来ない。
逆にさらに進化させ、人間本来の生き方に役立つものとして行きたい。
原子力、AI、遺伝子工学等、取り扱いを間違えれば、人類を滅ぼす事になる。
一方、その計り知れない力を、「生物」としての人間の生存に活用する事が
出来れば、その恩恵は多大なものとなる。
まさに諸刃の剣。
人類が試される時期に差し掛かっている。
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